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2018年7月27日金曜日

インドインターン日誌④

さてシリーズ化していたインドインターン日誌も今回で最終回にしようと思います。今回はインド人との仕事について書きたいと思います。

チームメンバー
僕はいま海外進出チームにいて、基本ボス一人と他のインターン生と一緒に働いています。インターンはアメリカから2人(アメリカ人と僕)、シンガポールから2人(インド人)、ロンドンから1人(インド人)で僕以外はみんな英語ネイティブです(僕の定義ではインド人はアクセントのある英語ネイティブです)。

因みに直属のボスはアマゾンインドの立ち上げメンバー→グーグルインド→グーグルUAEというキラキラテック系キャリアの持ち主で、頭の回転がめちゃ早くて、早口で、英語たまに何言ってるのかわかりません(最近大分慣れましたが)。


仕事
海外進出の初期段階なので、市場調査が主な仕事です。ここの国のeCommerceマーケット調べて〜みたいな感じで仕事が降ってきて、それをチーム内で分担する感じです。

インターン生はみんなMBA生なので、仕事自体はMBAのグループワークとほとんど変わらないというのが印象です。お題がボスから与えられた後、ワラワラみんなが集まって、なんとなく役割分担が始まって、よーいドンという感じ。

1時間に1回ぐらいインターン生でワラワラ集まって、雑談半分のディスカッション半分で話して、また個人ワークに戻るというような感じです。2日に1回ぐらいボスが思いついたように、ミーティングを招集して、あれやこれや指示して、1日が過ぎるというような感じです。

結構すごいなと思うのは、これでもちゃんと回っているところですね。

中々慣れないのは、隔週で土曜日に仕事がある事。インドで土曜日に仕事があるのは、一部の外資系企業を除いて珍しくはないようなのですが、僕は慣れませんね。土日使って旅行行きたいです。

職場の雰囲気
よく言えば明るい、別の言い方をすればゆるいですね。個人的に好きなところは服装が自由なところで、基本僕は(というかみんな)Tシャツ・チノパンですね。オフィス内に卓球台があって、昼休み以降は必ず誰かしらやってますね。お前仕事やってんのかっていうぐらい入り浸ってる人もいます。

みんな来るのはめちゃめちゃ遅くて、アベレージ10時半ぐらいで、大体10-11時ぐらいに9割ぐらいの人がきます。だからと言って夜が遅いかと言うと、大体19時頃にはほとんどの人が帰ってます。

ただ、僕はインターンだし、周りもマーケティングとかHRの方なのですが、恐らく例外はプロダクトディベロップメントチームで、(たまにですが)朝の2時とか4時にメール来てたりします。フロアが違うのであんまりよくわかりませんが。

ゆるいとは書きましたが、僕が思っていた以上にはみんな働いていて、実際周りのインド人はそれなりの方だと思っています。大体修士(MBA含め)以上を持ってる人は多い(というかほとんどかな)ですね。

ちなみに日本と違って、インドでは修士をとる人が多すぎて、コモディティーになってるようです。なので、修士を取っても差別化にもならず、結構就活大変みたいですね。


食事
いい意味で予想を裏切られてます。飯はうまい!昼はローカルデリバリーを頼んでますが、何を頼んでも大体うまいし、腹も壊さない。僕は多分アジアの香辛料を色々使う料理が舌にあっているようです。

インドは色々ごはんをシェアする文化があるのか、自分で作ってきた物を、ほぼ毎日のように周りの人にも配ってます。基本大丈夫なのですが、たまに生のマンゴーとかを渡される時は、かなりドキドキしながら食べてます。

他にも日本食とか中華のレストランに行きますが、結構クオリティ高いですね。もちろん、それなりに値段が行く場合もありますが。


住居
住居はピンキリだと思いますが、僕は(自分で言うのもアレですが)ピン(ピンが上ですよね!?)のところに住んでます。

日本で言うといわゆるタワマンみたいなところで、高層ビル(といっても20階あるかないかぐらいです)の集合体の一棟の一室に住んでますが、敷地内にはプールも、ジムも、体育館等もあり、まじ快適です。治安も良いですし、周りの人も余裕がある風貌です。


なんかつらつらと書きましたが、仕事はめちゃめちゃ楽しいです。というか、生活全般めちゃ楽しいです。多分、グルガオンが僕には合っているようで、町自体が新しいので、都市計画が他の町に比べるとマシで、渋滞は少なく、飲み屋街もいくつかあり、余計なことさえしなければ治安も悪いと思ったことはありません。また外国人向けのモールとかスーパーもあり、お金さえ払えば、大抵のものは手に入ります。

週1回ぐらいリキシャの運ちゃんと揉めますが、それも日本円で言うと30円多く払うかどうかの口論という感じです(僕は30円でも譲りませんが笑)。しかもそれは、流しのリキシャを捕まえた時だけで、UberとかOla(Uberのインド版)とかを使えば、揉めたことはありません。

合う人と合わない人がいるといいますが、僕は合ってますね。少なくとも10年前に比べたらだいぶ暮らしやすくなってると思います。

政治や社会慣習がクリアでなかったり複雑だったりしますが、総合的にはかなりポテンシャルのある国だと僕は思ってます。

まあ大体こんな感じです。とりあえず、今回でシリーズは終了したいと思いますが、また不定期にインド生活と仕事についてアップしてきたいと思います!

2018年7月26日木曜日

インドインターン日誌③

前回・前々回と会社のサービスについて書いてきましたが、今回も引き続きサービス及びインドの自動車産業を取り巻く環境について書いていきたいと思います。


1. インドの自動車業界
現在のインドの自動車産業は2,250億ドル(約25兆円)程度の規模と言われ、その内、オンラインは10億ドル(約1,100億円)程度と言われています。

既に、マーケットとしては巨大ですが、2022年までには3,500億ドル(約40兆円)となり、その内、オンラインによる取引は200億ドル(約2.2兆円)程度になると言われています。現在日本は世界第3位の自動車大国ですが、その日本を2018年から2019年の間には抜かすであろうと言われています。

少し古い情報ですが、2014年の段階では、インドの1世帯辺りの自動車保有率は6%程度で、日本の80%超と比較しても、まだまだ今後も伸びしろが多いという事がわかると思います。

その中で、マーケットリーダーとなっているのはMARUTI SUZUKI。インド政府とスズキで1981年に創業された合弁会社(スズキのこ会社)で、現在インドで約50%のシェアを持っております。トヨタがインド販路開拓のために、このマルチスズキと提携したのは、記憶に新しいかと思います。


2. インドの中古車eCommerce業界とDroom
話はeCommerce業界に戻りますが、この業界における重要な指標としてGMV(Gross Merchandise Volume)があります。Ecommerce サイトでは売り上げよりも、こちらで規模を表すことが多いです。

これは、例えば、100円の本を10冊eCommerceサイトで購入した場合のGMVは1,000円となります。市場規模もこの指標で計られているようで、DroomはGMVが年間約770億円(7億ドル)程度となります。

現在の中古車オンラインマーケットプレイスの市場規模が10億ドル(上述)なので、Droomは約70%のシェアを持っているという計算になります。


3. 中古車オンラインマーケットプレイスのプレーヤー
今後の成長が期待されているDroomですが、もちろん競合他社もいます。競合他社は大きく1. Online classifieds ads、2. Online discovery and content platformに分類分けされます。

1. Online classifieds ads
多様な商品が掲載されているマーケットプレイスです。通常、売り手も買い手も売買手数料や広告料がかからず、CtoCで自由に売買が行えます。特徴としては、掲載されている商品が多岐に渡り、アクセス数が高いところになります。

アメリカであればcragslistがそれにあたるかと思います。インドではOLXやQuikrが該当します。

2. Online discovery and content platform
通常のコンテンツサイトで、中古車検索サイトのようなイメージです。特徴としては、特定の商品に特化しており、掲載するのにお金がかかる場合もあります。Online classifieds adsに比べて検索機能が通常充実しています。

インドにおける中古車のOnline discovery and content platformはCar24、Trubill、 Credr、Spinny、Carwale、 CarDekho、CarTrade、Gaadi.com、Zigwheel等があります。

これらの会社は似たようなサービスを提供していますが、顧客ターゲットやアプローチは異なります。

例えば、Car24はCtoBのビジネスしか持っておらず、しかも在庫を抱えるビジネスモデルとなっております。DroomがBtoC, BtoB, CtoB, CtoCの全てのマーケットプレイスを持っており、在庫を抱えないビジネスモデルであることを考えると、一概に競合他社として比較するのは難しいかもしれません。


今回は短めですが、ここまでとしたいと思います。次回は最終回で、オフィスの雰囲気やインド人との仕事について書きたいと思います。

2018年7月20日金曜日

インドインターン日誌②

前回に引き続き今回もプロダクト・サービスを見ていきたいと思います。前回はエコシステムサービスを見ていきましたが、今回はオンライン上のマーケットプレイスがどのような仕組みになっているかを説明していきたいと思います(以下図参照)。


マーケットプレイスはその名の通り、個人・法人が中古車売買を行うオンライン上の市場です。DroomのプラットフォームにはBtoC, BtoB, CtoB, CtoC(Bは法人、Cは個人)の取引全てが存在しています。

ここではマーケットプレイスが提供をしている基本的な機能を紹介していきたいと思います。


1. 値段はどうやって決めるの?
物の売買では、誰かが値段を決めなければなりません。値段の決め方は3通り(Best Offer, Fixed Offer, Auction)あります。

Fixed offer
一番ポピュラーで、Droomとしてもお勧めする方法です。売り手が定価を設定し、販売する方法です。

Best offer
売り手が中古車を掲載した後に、売り手と買い手が価格を交渉できます。買い手は5回まで価格を提示でき、合意ができたら、取引成立となります。

Auction
ある日時にオークションがスタートして、Droomが設定した最低保証価格からスタートし、買い手が金額を提示していきます。提示された金額の中で、一番高い金額を提示した買い手に購入権が与えられます。尚、最高価格に関してもDroomにて予め定められています。


2. なんか難しそう
値段の決め方とか(売り手、買い手共に)商品の掲載とか難しそうですよね。Droom Assistはそんなお客様をサポートする機能です。メール、電話等でDroomマーケットプレイスの全てのことをこちらで確認することができます。

これまでのブログでは中古車の話をしていますが、Droomのマーケットプレイスはバイクを始め、飛行機・船等の様々な乗り物の売買をすることができます。

中古車は馴染みがあるけど、船はわからない事が多いと行った場合には、こちらのサービスによりサポートいたします。もちろん無料です。


3. 信頼はどのように担保されているの?
幾つかの方法で信頼を確保していますが、その内のひとつとして、Full Circle Trust Scoreがあります。掲載されている車の情報がどれほど信頼できるかを示す指標で、4つの指標(Pricing score, Seller score, Health score, Transparency score)から成り立っています。

Pricing score
売り手が提示している金額にどの程度信頼を置けるかを測るものです。基本的には、売り手が入力をした値段に関する情報を元に測定されます。また、以前記載をしたOBV (Orange Book Value) と連動もしています。

Seller score
売主を様々な角度から評価をした指標です。評価の方法としては、顧客からのレビューや政府登録のある売主か、等の情報を元に売主の信頼度を測定します。

Health score
車のメンテナンス状況を測定するもので、車検のレポートがついてるかどうか等から判断されます。

Transparancey score
各情報が信頼に足るものかを示すもので、車のヒストリーレポート(事故歴とかが記載されているレポート)の有無、写真・ビデオの数等で判断されます。

こちらもBasic reportとPremium reportがあり、Basic reportは上記4項目の総合点、Premium reportはすべてのチェック項目の点数が把握できます。





4. 手数料はかからないの?
手数料としては売値の2-3%を車の購入予定者がDroomに前金として支払います。但し、その中には車の登記変更に必要な書類の準備等も含まれているため(Droomが購入者にかわって準備をしている)、実質的なDroomの手数料は1%前後となります。

残りの97%-98%は購入者と販売者が車の引き渡しの際に支払います。もし万一、前金手数料を支払った後に商談が破談した場合にも、前金は100%返金されます。

またこの前金の中には、(車によって)保険代も含まれている場合もあります。この保険には、購入後6ヶ月間の期限付きで最大5百万ルピー(850万円程度)まで、故障の修理が保証されるというものです。もちろん、車によって故障箇所が制限されていたりします。

これらのサービスはBuyer Protectionと呼ばれ、Droomの一つのサービスラインです。


大まかなサービスの説明は以上です。

オフィスはベンチャー企業らしく、CEOや各マネジメントチームとの距離が近く、非常に開放的です。写真からもわかるように、Tシャツ + ジーパンとかでも全然OKです。必要以上に気を使わなくて良いのが良いですね。


マネジメントチームとのウェルカムミーティング。楽しくやってます。

2018年7月16日月曜日

インドインターン日誌①

インターンが始まって数日が経ちました。幸いお腹も壊さずやってます。

さて、早速インターン先は中古車のプラットフォームビジネスについて書いていきたいと思います。

以前のブログでも書きましたが、私が働いているDroomという会社は中古車のオンラインマーケットプレイスを運営しています。簡単に言うと、メルカリの中古車特化版のようなものです。

もちろん、そのマーケットプレイスには顧客が安心して中古車の売買ができるよう、色々な仕掛け(プロダクト・サービス)があります。メジャーなものから一つ一つ見ていきたいと思います。


1. Orange Book Value (OBV)
中古車の適正価格を調べるためのツールです。車種、製造年、走行距離等を入れると適正価格が出てきます。また車の各構成要素(エンジン、ブレーキ、ステアリング等)の 状態を入力すると、さらに正確な適正価格を知ることができます。これらは全て無料で利用できます。

また、さらに詳しい情報を有料で購入することもできます。それらの情報には、過去のそ売り手の情報、過去の売買成立価格、3年後までの予想償却額(3年間でどの程度価値が下がっていくか)等が含まれています。

アメリカではCargurusという会社が中古車の適正価格算定システムを提供しています。


2. Droom History
自動車の登録ナンバーを入力すると、自動車の過去の情報を閲覧できます。こちらも車の基本情報は無料で閲覧することができますが、多くの情報は有料となります。それぞれのレポートで閲覧できる情報は以下の通りです。

無料レポート
製造年、走行距離、洪水による損害歴等

有料レポート(ゴールド、150円程度)
無料レポート + 車の登録情報(エンジン情報等)、盗難歴及びその情報、担保情報等

有料レポート(プラチナ、500円程度)
ゴールドレポート + 過去の所有者の人数、現所有者の基本情報、(ローンがある場合には)ローンの商品名、保険の商品名等

アメリカではカーファックスという会社が同様の情報を提供しています。


3. ECO
車の購入者が、車を購入する前に購入予定の車の機能、外装、性能等を確認できる機能です。Droomと契約を結んだ独立請負人が、専用の機械を使って121箇所のチェック項目を10段階評価で確認し、そのレポートを購入予定者に送付します。OBVと連携して、ECOで得た情報を元に、市場の適正価格もわかります。

こちらもBasic reportとPremium reportの2種類があります。それぞれ900円、1,700円程度となっています。

Basic report(900円程度)
各セグメント(内装、外装、ホイール等)のスコア、車両の写真、主要な情報(事故歴、これまでの所有者の数等)

Premium report(1,700円程度)
全121チェック項目のスコア、故障部品を交換した際の追加費用、OBVと連携した市場の適正価格等


4. Droom Credit
中古車ローンの購入システムです。オンラインで全てが完結するシステムで、ローン獲得に必要な基本情報を入力後、30秒で審査が下るというものです。

Droom自体が金融商品を持っているわけではなく、各金融機関の商品から最も最適なものを選択できるというものです。

特徴①シームレスなローン購入
Droom creditでは車の選択→ローンの選択→ローンの実行をシームレスに一つのプラットフォームで行うことができるというところです。通常、車の選択、ローンの選択、ローンの実行は、それぞれ別のウェブサイトで行います。中古車オンラインウェブサイトで車の選択をした後に、金融機関のウェブサイトでローンの選択を行い、ローン実行という流れです。
Droom creditは、これらを全て一つのプラットフォームで行えるので、車の情報が瞬時にローン選択に反映され、ローン実行に繋がります。これらの3つのプロセスを一つのプラットフォームでシームレスに行えることが、特徴の一つです。

特徴②ペーパーレス
ローンの実行も、紙の書類のやりとりは一切なく、e-Signature(電子署名)で行われます。パソコンの画面上に、サイン画面が出てきて、そこにサインをすれば、貸し手と借り手の契約が締結されます。アメリカではe-Signatureは銀行や不動産の取引でも割と普通ですが、日本ではまだあまり普及していないかと思っています。


5. Droom Discovery
ウェブサイトに掲載されている車の検索サイトです。金額や車種から選べることができるのはもちろん、専門家のレビュー等からの検索もできます。また所有の車の燃費の検索や、教習所情報、DIYに関する情報、自動車関連ニュースも載せています。


以上が、Droomのエコシステムサービスというものです。エコシステムという名が付いている通り、これらのサービスはお互いの長所・短所を補完しあって、5つのサービスラインが揃って初めて一つのサービスが提供できています。

エコシステムとセクシーな言葉がついていますが、もっとわかりやすい言葉で言えば、顧客のニーズに基づいたワンストップサービス/トータルソリューションサービスといったところです。

話は少し変わりますが、以前に働いていた香港の会社も日系企業の海外進出支援を行っており、最初のサービスは会計代行・監査のサービスだけでした。

しかし、お客さんに接していく中で、会計だけでは香港に進出してきた企業の全てのニーズを満たすことができないということがわかってきます。そこで、ビザを含めた労務、M&A、弁護士事務所との提携等と業務を拡大していき、香港進出をトータルでサポートするコンサルティング会社になりました。私が勤めていたPwCをはじめとしたBig 4系のコンサルティング会社も同様の変遷ではないでしょうか。

Droomの場合も同様に、最初はシンプルなソリューションから始まりました。そこから、中古車売買の各プレーヤーのニーズを満たすために、様々なサービスが追加されていきました。

私見ですが、Droomの場合、創業当初より中古車売買に関するエコシステム/トータルソリューションを提供するというビジョンがある程度確固なものとしてあったかと思います。それが、各サービスの展開の速さと、会社の成長速度に現れているかと思います。

上記の各サービスのスタート時期は以下の通りです。

2016年3月:ECO
2016年8月:OBV
2016年12月:Droom History
2017年4月:Droom Credit
2017年10月:Droom Discovery

わずか1年7ヶ月の間にこれらのサービスを次々とローンチして、エコシステム/トータルソリューションを提供できているのは、当初よりある程度アイデアがなければできなかったことかと思っています。

そして、2018年5月に豊田通商をはじめとしたVC連合から出資を受け、いよいよこれらのソリューションを海外に展開していこうというフェーズです。

長くなりました。次回はデータの収集方法や海外展開、また一つ一つのプロダクトのより深い理解を業務中には行っているので、その辺りについて書ければと思います。あとインドの生活や観光も書いていきたいと思います。

オフィスの入り口。おばあちゃんの家の入り口のようです。


建物古いです。今年綺麗なところに引っ越すようです。


2018年6月10日日曜日

インドでのインターンについて

さて、以前の記事にも書きましたが、7月よりインドの中古車関連のテック系ベンチャーでインターンをする事になりました。インターン先はDroom Technology Inc (https://droom.in/about) という中古車のC2C(B2C,B2B等も行う)マーケットプレイスを展開する企業です。

インドでインターンをするという方はまだあまり多くないと思いますが、折角なので、どのように出会ったか及び選考のプロセスを少しだけ紹介したいと思います。

1. なぜインド?
将来ファミリービジネスに戻った際に、インドは言語、市場、ITシステムのサプライヤーとしても非常に有望な国であると思っています

市場という観点から、人口の多さ及び今後自動車がより一層普及するにつれて、当然自動車アフターマーケットの需要も増えていきます。まだ先の話ですが、ファミリービジネスを海外展開させるといった時には、インドは進出先の一つであると思っています。

ITシステムのサプライヤーという点で、インドは多くの高度IT人材が揃っていると思います。MBAの同期に多くいるインド人もテクノロジーには強く、若いながらも日本語で聞いてもついていけないようなディスカッションが繰り広げられています(笑)人口の多さもさることながらITも強い人材が多く、英語が話せ、(日本と比べて)人件費が安いインドは、将来コラボレーションする一つの候補国であると思っています。


2. なぜDroom社?
元々自動車アフターマーケットや中古車市場に興味を持っていたので、こちらに関連する業界の成長性の高い企業でインターンをしようと思っていました。この業界自体はかなり古い業界ですので、面白いサービスを持っている企業はあまり多くなく、かなり限られた企業数の中から吟味をしていきました。

もちろん、シェアリングやコネクテッドカー等の今の自動車業界を根本から覆すような技術を持った会社は多くあります。しかしファミリービジネスの規模や業界を考えてみても、セカンダリーマーケットにフォーカスをした方が良いと考えていました。

あと、私のバックグラウンドも、テクノロジーは全くありませんので、最新テクノロジーを扱っているこれらの会社はかなりハードルが高かった事も事実です(これらの多くの会社は特にBusiness Analystをインターンとして採用していました)。そのような中で、インドを中心に探していたら、Droom社に行き当たりました。

因みに、一番最初にDroom社を知ったのは以下の記事によるものです。アントレプレナー感が溢れる良記事だと思うので、中古車業界に興味がない方も読んでみてください。


東洋経済オンライン:インドの中古車市場を「ゼロ」から創った男(https://toyokeizai.net/articles/-/130273


3. 選考プロセス
正面突破(つまり正規のルートでインターンを申し込む)は難しいと思っていたので、あらゆる伝手やLinkedin等を駆使しました。正面突破では、英語もまだまだで、インド市場のこともあまりわかっていない自分は、相対的にインド人の優秀層には敵わないと思っていたからです。偶然、日本の投資家もいましたので、そちらにアクセスしたり、インドの友達にも伝手がないか調べてもらいました。

できることは全て試した結果、、、結局Webサイトの"Contact Us"に送ったメールから返信が来ました。正面突破で討ち死にするかと思ったら、意外と受け入れてくれました(笑)2日後ぐらいにメール返信があり、その5日後ぐらいに面接を行い、面接翌日には採用がきまりました。

後日談ですが、Droom社は5月中旬に豊田通商等からSeries DのVC投資を受け、その中で、その資金を持って海外進出すると書かれていました(豊田通商プレスリリース)。僕が応募していた部署はまさに戦略及び海外進出を行うところだったので、タイミングと運が良かったようでした。



今回のインターンシップは、国も、業界も、会社も、人も、全てに興味があるので、非常に多くの学びがありそうで、今から楽しみにしています。インターンについてはまたこちらでレポートをしようと思います。

2018年5月13日日曜日

今学期(Mod4)の総括

すっかりブログの更新が止まってしまいましたが、1年生の最後の学期であるMod4が終わりました。Mod4の授業の総括をしたいと思います。

1. テクノロジー
基本的なテクノロジーの技術(データビジュアリゼーション、AI、ブロックチェーン等)とそれをどのようにビジネスに適用していくかという授業でした。ディスカッションとアクションラーニングが半々ぐらいあって、授業中にブロックチェーンのコア技術であるハッシュを動かしてみたり、テック系ベンチャー企業の新規ビジネスの提案のプレゼンがあったりしました。
授業の内容はそれほど難しいものではありませんでしたが、他の文系学生と比べてもテクノロジーに関する理解度はかなり浅いので、今後も勉強を続けて行こうと思います。


2. マクロ経済
経済の基本的な需要と供給(金融市場、生産・消費財市場、外国為替市場)の理解と、外的ショックを与えられたときに、これらの市場がどのように反応するかのレクチャー授業でした。基本的には、レクチャーですが最後に1ヵ国グループにわり与えられた国の分析及びそれのプレゼンがありました。最後の1ヵ国の分析は想像以上に学びがありましたが、レクチャーが長くて、途中かなり中だるみしてました。

3. リーディングイノベーション
組織内にどのようにイノベーションを起こすか、というテーマの授業でした。組織を小、中、大に分類し、有望な技術を持ったテックベンチャーが業界に入ってきたときに、どう対応するか等のディスカッションを行いました。最終レポートでは、ベンチャー企業がどのように大企業を駆逐したかの例を一つあげて、ビデオでプレゼンを行い提出しました。我々のグループはAirbnbを取り上げて、成長の過程やレギュレーション対応、既存のホテル業界にどのように対抗していったかの説明を行いました。
内容はおもしろかったのですが、理論をがっつり教えるという感じではないので、少し学びはぼんやりとしています。

4. コンサルティングプロジェクト
やはり今学期で一番面白かったのはこちらのコンサルプロジェクトであったかと思います。クライアントはアメリカの400億円程度の電子部品の流通業で、LEDを用いた新規ビジネスの考案がプロジェクト課題でした。僕自身はコンサルバックグラウンドなので、なんとなく進め方は理解していたつもりでしたが、やはり様々なバックグラウンド(文化、言語、職業等)の方々と一緒にプロジェクトを進めていくのはかなり違った大変さがありました。その分、学びや効用も高かったので、来学期も似たようなコンサルプロジェクトを取っていこうかと思っています。

かなりざっくりとしたまとめですが、今学期はこんな感じでした。夏休みは5月中旬から下旬は日本、6月はボストン、7, 8月はインドにいる予定です。夏にやる事はまた次回書きたいと思います。



2018年1月5日金曜日

グラミン銀行インターン①(インターンシップ編)

バングラデッシュでの2週間が無事終わりました。最初の1週間は枕も合わず(僕の睡眠の質は枕の質とお酒の量に相関があります)、お腹の調子も首の皮一枚で繋がっている感じで、非常にストレスを感じていましたが、2週目は交通渋滞以外はかなり快適に生活ができるようになりました。色々グラミン銀行とソーシャルビジネスについて考えが深まったのでそちらを記載しておきます。

グラミン銀行とソーシャルビジネスについて
この2週間(稼働日は9日間)でグラミン銀行の概要のレクチャー、村の訪問(2回)、グラミンファミリー(グラミン関連会社、計4社)への訪問、グラミンファミリーの工場や職業訓練所の視察等を行いました。最終日はレポートの提出と、MD (Managing Director) とのショートディスカッション、修了書の授与等がありました。
グラミン銀行はソーシャルビジネスという言葉を普及させました。僕自身の疑問として、近年企業の社会性が求められるようになり、ソーシャルビジネスと普通のビジネスの境目が非常に曖昧になっていると思ってます。同じくインターンに参加していた日本人・中国人のかたと色々議論をして、自分なりの考えを持てるようになったので、そちらを記載しておきたいと思います。

まずソーシャルビジネスに関して話したいと思います。グラミンファミリーの中にユヌスセンターというリサーチ&コンサルティングセンターがあり、そちらでは日々ソーシャルビジネスの研究等も行っています。そちらのマネジャーの方と話す機会がありまして、ソーシャルビジネスの大きなポイントとして、スタートが社会問題に対するアプローチと言っています。一方、僕は一般的なビジネスのスタートは利益の機会であると思っています。恐らくここが大きな違いであると思いますが、上述の通り近年企業の社会性が求められるようになり、多くの企業が我々の企業は"ソーシャルな"企業であるという事をアピールするようになったと思います。全ての企業が社会に対してインパクトを与えている以上、一つの事業を"ソーシャルな"事業であるという事は難しい事ではありません。
例えば僕にとって最も身近なカー用品小売事業。例えばカー用品小売事業を海外展開させたとしましょう、もちろん利益の機会を求めて。しかし後付けでこの事業をソーシャルな事業という事も可能です。例えば、「進出先の雇用を生んだ」、(従業員のトレーニングは何れにしても必要なので)「労働者に職業訓練の機会を与えた」、(現地企業より若干高い給料を払えば)「所得工場に貢献した」という事ができると思います。このように多くの企業が我々は"ソーシャルな"企業であるという事をアピールして、一見ソーシャルビジネスの定義が曖昧になったかのように思えます。しかし、グラミン銀行の考えるソーシャルビジネスはより狭義のもので、あくまで社会問題にアプローチをするというものでした。

一方で、僕はグラミンファミリーのビジネスは全てソーシャル"ビジネス"と呼べるが、ソーシャル"ビジネス"として成立しているものは、その内半分以下かと思っています。理由は利益性です。具体的な数字を用いてお話することはできませんが、色々突っ込んだ質問をさせて頂いたところ、ヒアリングをさせていただいたグラミンファミリー6社の内、3社程度のグラミンファミリーが利益を生み出していない、あるいはそもそもNGO・NPOを標榜していました。

利益を追及できていない理由は理由は様々あると思います。当初の事業計画に無理がある、そもそも利益をあまり追求していない(出資元企業のCSRの位置づけ)、そして"ソーシャル"を謳うがゆえに行動が制約されて、一般企業が取るような改革ができない、です。3点目の行動の制約に関して、例を用いて説明したいと思います。僕が伺ったとあるグラミンファミリーの工場で不採算部門がありました。工場内を見学いたしましたが、明らかに人員過剰です。一目でわかります。ではレイオフができるかというとそうでは無いと思います。ちなみにこの工場では他の工場よりも従業員の給与が30%程高いです。ではそれを下げる事ができるかというとそれも比較的難しいと思います。なぜなら、この会社はソーシャル"ビジネス"を行っているのであり、上述のような従業員の雇用とか所得向上貢献を謳ってしまっているからです。もしここでレイオフしたり、給与下げたりすれば普通の企業になってしまい、それはグループ全体の方向性に反します。一般企業であればできることがソーシャルビジネスを標榜しているが故に、行動が制約されているのかと思います。
まとめると、ソーシャルビジネスと呼べるものは多くはびこっていますが、多くはソーシャルビジネスとして成立はしていないというのが僕の感想です。それは①後付けの"ソーシャル"ビジネスとなっている、②"ビジネス"として成り立っていない、という事があると思います。ソーシャルビジネスをクリアに定義する必要はないと思いますが、僕なりの考え方を記載させていただきました。

さて僕自身が目指すところは社会性のある一般企業です。企業として利益を上げる事は第一であると思っています。その上で、随所で社会性を考慮した判断をしていきたいと思います。例えば上記の工場の例では、人員過剰でも新規採用を止め自然退職を待つか、需要が大であれば設備を増やし、その部門に人を移すといったような判断になると思っています。(当たり前かもしれませんが)リストラはなるべく避けたいと思っています。仮にリストラをした場合でもトヨタのように(参考:日経新聞)従業員の再雇用の支援までを行うという判断を下せるような人になっていこうと思います。


思ったより長くなってしまったので、バングラデシュのインターンシップ以外の観光とか治安等の話はまた別途記載しようと思います。全体としてかなり満足度の高いインターンシップになりました。どうしてもアメリカにいるとテクノロジー志向(思考)になりがちであるところがあるのですが、テクノロジーはあくまでツールなので、どのようにビジネスや社会問題にアプローチするかという事を実践を通して、考え・学べた事は非常によかったです。また多くの友達とディスカッションをする事を通じて考えがさらに深まった事も非常に有意義でした。優秀な友達とのディスカッション程思考を深めてくれるものは無いなと感じている次第です。 コーディネータのサブンさん、色々ディスカッションをしてくれたタキ、タカオ、イサンを始め、関わってくれた人全てに対して、感謝です!

コーディネーターのMr. Sabunさんと。最終日修了書授与後。

バングラ初飲み会の記念写真。

 センターミーティング(借り手の集まるミーティング)

バングラ最終日のディナー。仲良し4人組笑

国際NGOのBracにも訪問しました。時系列めちゃめちゃですいません。

ニット工場見学

村の子供達

村の子供達②

ブランチマネジャー

MDの方との記念写真

センターミーティング②

2017年12月17日日曜日

MIT Retail & Consumer products Conferenceに行ってきました

先日テストの合間を縫ってMIT主催のRetail & Consumer Products Conferenceに行ってきました。僕の興味はこの業界にあるので、めちゃめちゃ忙しい中でしたが頑張って時間を作って行ってきました。結果としては、予想を超える収穫があり、大満足です。
まず、パネリストやスピーカーが非常に豪華でした。スピーカーにはナイキのCIO (Chief Innovation Officer)、ロレアルのChief Product Accelarator、ブティック系の戦略コンサルティングファームであるカートサーモンのManaging Director(現在はアクセンチュアの一部)等がおりました。パネリストには、スターバックスのCSO (Chief Strategy Officer)、New BalanceのグローバルeCommerceシニアマネジャー、アマゾンのプロダクト&マーケティングリーダー、MITスローンのイノベーション&アントレプレナーシップの教授等が来ていました。以下に印象に残った内容をいくつか載せておきたいと思います。

小売の今後について
多くの人の見解として一致してたのは、小売は"Mass Personalization"の時代になっていくというもの。現在プロダクトの提供は企業が考えた一つの規格を消費者に対して提供するというものであるが、今後は大衆向けでありながら、一人一人のニーズに合わせてプロダクトやサービスが変わっていくというもの。わかりにくいと思いますので、ちょうど最近友達がシェアしてくれた良い事例があったので紹介したいと思います。こちらは電通が日本マイロソフトと提携をして、人の視線を認識してそれに応じて広告の内容を変えるというものです。従来通り広告のターゲットは広く一般的であるけど、個々人の興味に応じて広告の内容を変えていくというものです。もちろん、これを可能にするにはAIをはじめとする最新テクノロジーが使われるわけです。
Amazonの方は、最新テクノロジーの中でも特にMBAにいる間(=時間がある間)に勉強をしておいたほうが良いのはMachine Learning(機械学習)であると断言していました。機械学習とはある程度の数の情報を読み取らせ、その中からパターン・ルールを抽出し、それに応じて自らアルゴリズムを発展させていくというものです(詳しくは勉強中です。教えてくれる人募集中です)。つまり、今回の人口知能型屋外広告も、人の目の動きに関する情報を機械学習で事前に読み取らせて、パターン分け(右に視線が行く、真ん中に視線がいく、左に視線が行く)して、それぞれにあった広告を打ち出すということなのでしょう(右に視線がいったらA広告、左に視線がいったらB広告、、、)。小売のように多くの顧客データを扱う会社は、このMass Personalizationを機械学習を通じて実現していくであろうということが、このセッションから読み取れました。
また今回は話にでませんでしたが、多くのデータを蓄えるという観点からは、クラウドやビックデータ等についてもある程度知っておいたほうが良いのかと思います。

【参考記事】人工知能型屋外広告
http://marketing.itmedia.co.jp/mm/articles/1712/14/news088.html

vs Amazon
アメリカではほとんど全ての小売がvs Amazonを真剣に考えています。もはやほとんどの小売の業態に参入してきているので、まさにDesraptive (破壊的) と言えるかと思います。最近Whoolefoodsを買収して本格的に生鮮食品業界にも参入したことは、MBAのマーケティングの授業でもディスカッションの題材として取り上げられました。
さて、セッションの中でどのようにアマゾンに対抗するかという質問がモデレーターからされた時に、New BalanceのeCommerceマネジャーの方が答えた内容が印象的だったので共有したいと思います。その答えは、"Differenciated value proposition"。つまり、差別化です。アマゾンがほとんどの小売の業態に入ってきて、小売のそれぞれの業態のビジネスモデルがコモディティー化される流れは進んでいくが、もし自社の商品が十分に差別化されていたらそれらの流れにのまれずに済むということです。極めて当たり前の内容ですが、行うのは難しいのはこのことかと思います。また、小売で重要なのは何かという質問に対して、(業態によって異なるが)Trend (流行) とTechnologyを見ていくこと、そしてそれに伴う困難は、それらの変化に合わせてどのようにプロセスを柔軟に変えていけるかである、と答えていました。もちろん組織がNew Balanceほど大きくなければプロセスもある程度柔軟に変えれると思いますが、僕自身は非常に納得感のある答えだと思いました。

【12月18日追記】12月17日のBusiness Insiderの記事にまさにeveryone vs Amazonの記事があったので共有します。多分この筆者もこのコンファレンスに来てたんでしょうね。
"The $13.7 billion Whole Foods buy has turned the whole world against Amazon — and we'll see the sparks fly next year"
http://www.businessinsider.com/amazon-and-whole-foods-versus-everybody-2017-11




Mit Media LabというMITのテクノロジーセンターで開催されました。


クラスメートのアメリカ人と行ってきました。

アマゾンがどれほど市場を席巻しているかというプレゼンですね。

オススメの本の紹介です。

パネルディスカッションの様子。豪華なメンバーです。

2017年11月11日土曜日

Babson Entrepreneurship ForumとJapan Innovation Night

1) Babson Entrepreneurship Forum
さてあまりご存知ないと思いますが11月9日から16日まではグローバルアントレプレナーシップウィーク(GEW)と呼ばれているようで、アントレプレナーシップ部門で全米トップのバブソン大学もこの期間様々なイベントが開催されています。本日11月9日にはバブソンアントレプレナーシップフォーラムが開催され、様々な起業家が講演、パネルディスカッションを行いました。このようなフォーラムは毎週のようにボストンでは開催されているのですが、今回はアントレプレナーシップにフォーカスをされているので、他のフォーラムとは少し違った観点でした。例えば、他のフォーラムでは「IoTは今後どうなる?」とか「今後アマゾンはどのようなサービスを出していくか?」といったような意見を求められる質問が多いのですが、今回のパネルディスカッションでは、パネラーに対して、「失敗の経験は?」とか「なぜ起業にあたりボストンを選んだ?」というようなパーソナルな体験を聞かれていました(就活のようでした笑)。将来自分自身が起業をする身になって聞くと非常に有意義なものかと思います。

オーリンホール(バブソンMBAの校舎)内


会場の雰囲気



2) Japan Innovation Nightについて
以前紹介したCIC (Cambridge Innovation Center) にてJapan Innovation Nightが開催されました。主に日本のイノベーションにフォーカスをしたイベントで、在ボストン日本領事館総領事の挨拶に始まり、バブソン大学の日本人教授がモデレーターとなりパネルディスカッションがされたり、日本からフィッシュ財団の女性起業家プログラムで来られている5名の方のピッチ、各企業の商品・サービスのデモ等があったりと盛り沢山のイベントでした。
私自身、ボストンに来てから学生と会う機会は非常に多かったのですが、駐在員等他の日本人の方々と会う機会がほとんどなかったので、非常に良いネットワーキングの機会となりました。

女性起業家によるピッチ(プレゼン)

ベンチャーカフェ(起業家の交流スペース)

パネルディスカッション



2017年10月30日月曜日

Cambridge Innovation Center とSalemハローウィーン

前々回のブログで宣言した通り、今回はバブソン外のアントレに関連する内容を少しだけ紹介したいと思います。

CIC (Cambridge Innovation Center)について
 Cambridge Innovation Center (以下CIC) とはスタートアップ企業と大企業のイノベーション部門が集積する、ボストン・ケンブリッジ地区MITのすぐ横にあるコワーキングスペースです。かの有名なアンドロイドもここから生まれ、CICでは現在年間70億円以上のベンチャー投資が行われています。CICについては同じくバブソンMBAに所属している服部さんの記事に詳しいのでこちらを参考にしていただければと思います(世界最大級のイノベーションハブ「CIC」の全貌に迫る)。
こちらのブログにも写真が掲載されていますが、服部さん企画でCICの日本人向けオフィスツアーに参加させていただきました。ツアーではCIC創設者のTim氏との質疑応答、社内ツアー、ベンチャーカフェの参加等をしていただきました。ベンチャーカフェとは、CIC内のスペースで行われている、ネットワーキングイベントで、CICにスペースを持っている企業や個人の他に、誰でも自由に出入りができます。テーマを絞ったピッチイベントやセッションの他に、アルコール片手に自由に会場にいる人と話す事ができるスペースもあります。こちらのブログ(地域に根差すスタートアップエコシステム: 良い偶然を生み出すためのネットワークづくり)も書かれている通り、スタートアップエコシステムを生みだす為には、「良い偶然を生み出す」仕組みのひとつがベンチャーカフェという事です。
現在CICの一部のプロジェクトにも参加させてもらっており、今後プロジェクトが進んでいくタイミングで、またこちらに書いていきたいと思います。


CIC正面入り口

Salemハロウェーンについて
さて全くアントレとは関係ないですが、先日ボストンから車で40分程度北にあるSalemという街でハロウィーンパーティーをしてきました。都市伝説のようにも聞こえますが、Salemという街は17世紀末に魔女狩りが行われたところのようです。あまり噂とか都市伝説は信じない人なので、少し調べてみましたが、"Salem witch trials"と検索すると相当な情報が出てきました。特に驚きだったことが、1692年に行われた魔女狩りの加害者(の子孫)の免罪が、2001年にマサチューセッツ州から正式に認められたという事です。つい最近まで魔女狩りの禍根を残していたことへの驚きとともに、魔女狩りが行われていたことの信憑性は高さを感じました(参考:The New York Times)。
なので、それにかこつけてハロウィーンになると多くの人がSalemに集まるようですが、我々も例外ではなく、約10年ぶりにお化け屋敷に入ったり、MBA同期と飲んだりで、良い一夜を過ごすことができました。

お化け屋敷


Witch City Taxi

 飲み会。服装は普段着です。

2017年10月20日金曜日

プロトタイプとFeasibility Analysis (実現可能性分析) について

アントレ第3弾です。本当はバブソン外の話を書く予定でしたが、Mod1がちょうど終わったのでこちらから書きたいと思います。

1. プロトタイプ(模型)について
以前の記事で我々のグループでは高齢者にフォーカスした商品作りを考えているという話をしましたが、その後その話が進み、授業の一環としてプロトタイプを作りました。プロトタイプというと仰々しいですが、要は模型です。講義ではプロトタイプの考え方の説明から始まりました。Prototyping で重要なことは①実験を行うために最も最短の方法を見つけること(Find the quickest path to experience)、 ②実行は最も良い思考である (Doing is the best kind of thinking)、という事です。以下の写真は、ドローンを使った新しいサービスのプロトタイプのようですが、大体1日未満で作り上げるそうです。
一通りの講義の後に、実際に我々もプロトタイプを作り、その発表があります。


我々のグループは高齢者向けのウェアラブルデバイスという事で、以下のようなものとなりました。(本件についてのツッコミはご遠慮願います笑)。


小学生の図画工作のレベルですが、実際に作ってみると頭の中で考えていた事以外にも、色々な問題点や改善点が出てきます。これを作る過程で多くのディスカッションがなされ、アイデアに磨きがかかっていくという事を経験しました。その他のチームも同様の事を行い、その後発表会があります。会場の雰囲気と他のチームの作品は以下の通りです。語弊を恐れずに言えば、ほぼ遊びです笑

講義の雰囲気

VRを使ったサービスのプロトタイプ

健康食品のプロトタイプ


2. 最終プレゼンについて
バブソンはモジュール制になっていて、1年生は来年5月までに4モジュールあります。Mod1の締めくくりとしてグループのアイデアのFesibility Analysis (実現可能性分析) を行い、Mod1で教えていただいた3人の教授(我々のチームは会計、戦略、アントレの教授)に対してプレゼンを行い、Q&Aを行うというものです。我々のチームは上記の高齢者向けのウェアラブルウォッチのFesibility Analysisを行いました。Fesibility Analysisとはプロダクトやサービスの実現の可能性(技術的実現可能性、採算の実現可能性等)を分析するもので、(多分)新規事業開発の事業計画書に近いものかと思われます。
さて、Feasibility Analysisを行うにあたって、様々なビジネススキルが必要とされます。将来の需要を予測するための統計スキル、将来の収支を考察するための会計スキル、自社のサービス・プロダクトを市場に提供するための戦略(マーケティング・オペレーション等)そしてゼロからイチを作り上げていく基本的な考え方(アントレプレナーシップ)です。
今回のプレゼンは、Mod1で学んだ上記4つ(会計、統計、戦略、アントレ)の集大成として位置付けられていて、それぞれの科目のGPAに10-15%程度影響します。バブソンではこれをSLE (Signature Learning Experience) と呼んでいます。
話は脱線しますが、僕がバブソンにアプライする時に「すべての授業が"アントレの観点"から行われる」と言われました。正直何言ってるのかよくわかりませんでした。アントレの授業はともかくとして、会計や統計の授業がどうなったら"アントレの観点"になるのか全く理解できませんでした。しかし、今回この最終プレゼンを行っていく中で、少し合点がいきました。例えば、会計の場合、一般的なMBAでは与えられた財務諸表の分析という観点がメインになるかと思います。もちろん投資銀行でやるようなモデリング等もあるかもしれません。しかし、バブソンの会計の授業では異常にキャッシュフローの比重が高いです(キャッシュフローステートメント作成やキャッシュに関わる指標の分析等)。なぜなら、現預金がなくなったら企業は倒産するからです(当たり前のことを書きました)。ベンチャー企業は大方資金繰りは厳しいものなので、講義でも利益と共にキャッシュフローが重視されるということなのでしょう。今回のFesibility Analysisも財務の観点が必要ですので、損益計算書の他にキャッシュフロー計算書を作成してプレゼンを行いました。

チームメートにも恵まれて、無事プレゼンも終え、今はMod1とMod2の間の束の間の休息です。最終プレゼン後の写真を撮り忘れてしまったので、その代わりアントレの授業の最後に見せてもらった、アントレに関するショートムービーをのせておきます。1ヶ月半、色々な事をさせてもらった後にみると、心に染みました。

      

2017年10月2日月曜日

ロケットピッチ・Blank Centerについて

中間テストも終わり、今週末は比較的ゆっくりとできているので、アントレ関連の第二弾を書きたいと思います。

1. ロケットピッチ
先週アントレプレナーの授業の中間テストとして、ロケットピッチの課題が与えられました。ロケットピッチとは本来起業家が投資家等に対して、自分のアイデアを短時間でピッチ(説明)するものです。ただ今回は、ピッチをビデオで録画・公開し、生徒の何人かと先生から評価・コメントをもらうというものでした。ピッチの時間は2分間で、PPTスライドも数枚作成しました。
評価の基準としては、ビジネスアイデア自体の質(CVP (Customer Value Proposition, 顧客に対する付加価値) が明確になっているか、Revenue modelが盛り込まれているか)と、プレゼンテーションの質(自身の意見をクリアに伝えられているか等)、という観点です。僕自身も10人以上のプレゼンテーションを評価しました。他の人のプレゼンテーションを見る事により、ビジネスアイデア自体から学びがあった事はもちろんのこと、プレゼンの方法やスライドの作り方といった点で学びがありました。
また個人的にロケットピッチの最も良かった点は、誰でも強制的にビジネスアイデアを考えさせられ、ある程度のところまでブラッシュアップをしなければならないという環境の提供、という点です。僕自身、色々アイデアは持っていたのですが、「これっ!」という一つに絞りきれず、なんとなく過ごしてきてしまいました。しかし、ここで一つのアイデアを選んで、深掘りしていく事で、自分のやりたい事や、自分の持っているアイデアの実現可能性等が以前に比べてクリアになってきたかと思います。私自身、ここでピッチしたアイデアは実現化させようと思っているので、Blank CenterのCohort Program (7週間プログラム) に登録しました。

2. Blank Center (Cohort program)
Blank Centerの正式名称は"The Arthur M. Blank Center for Entrepreneurship"で、Babson Collegeにおけるアントレプレナーシップ教育の本拠地となっています。アメリカにおける名称付けの例に漏れず、こちらの建物の名称はバブソンの卒業生でありHome Depoの共同創業者であるArthur M. Blankから名付けられています。
さて、普段の授業ではこちらの建物に入る機会は少ないのですが、先週よりBlank center主催のCohort programに参加しています。Cohort programとは自分の持っているビジネスアイデアをブラッシュアップし、それを実現化させる為のプログラムです。現在はオリエンテーション期間ですが、約40人程度の生徒が集まっており、3週間のオリエンテーション期間の後、30人に絞られ、その後、7週間のインテンシブプログラムが始まります。オリエンテーションの期間から、生徒一人に対して教授一人がメンターとして付くという非常に豪華なプログラムです。
先週初めてのオリエンテーションセッションがあり、ここで4人のグループに分けられ、各個人のアイデアを簡単にピッチしました。今回のグループは学部生2名とEvening MBA生、それと僕というメンバーでした。驚いた事に学部生2名(どちらも19歳)であるにもかかわらず、すでにマッチングアプリのプラットフォームは出来上がっているという具合で、彼らの優秀さに舌をまきました。
またさらに驚いたことに、そのうち一人は僕のアプリを実現化させる為に、エンジニアを紹介してくれて、来週エンジニアと打ち合わせを行う予定です。

このようにBabsonには色々なアントレのチャンスが転がっているます。入学時にはアイデア無しでも、在学中にアイデアを考え、それを実現化させる事も、やる気次第でどうにでもなると思っています。また、バブソンの外に目をむけても、ボストンエリアには非常に多くのアントレやネットワーキングのチャンスが転がっています。次回は先日訪問させていただいたCIC (Cambridge Innovation Center)について書きたいと思います。

バブソンアントレの総本山

入口入ってすぐのスペース。アントレ感がでてます。

2017年9月16日土曜日

Babson College Pre-MBAが始まりました

8月17日(木)よりBabson College Pre-MBAが始まり、8月28日にMBAが始まりました。Pre-MBAでは、初日からグループワークの宿題が与えられたりと、中々楽をさせてくれません。生徒の75%程度がインターナショナルで、日本人は10人(去年の2倍!)います。今年はインド人20人ぐらいに次ぐ、大きなインターナショナル生徒のコミュニティーだそうです。
さて、MBAが始まってから3週間がたちました。Module 1ではFinancial Accounting, Strategy, Date, Models & Decision, Entrepreneurshipの4科目を学んでいます。その中で、個人的に圧倒的に面白いのはEntrepreneurshipなので、こちらを紹介したいと思います。

1. "All human beings are entrepreneurs"
アントレの教科書(バブソン限定)の1章はこの文章から始まります。これは2005年にノーベル平和賞を取ったムハマド・ユヌス(グラミン銀行創業者)の言葉で、どんな人でもアントレプレナー(起業家)の素質を持っているというものです。その後、一般的に信じられているアントレプレナーに関わる"迷信"を否定していきます。例えば、アントレプレナーはとてつもないリスクを追っているように思えますが、リスクとは"personal (個人的) and relative (相対的) "であるものと定義しています。つまり、業界や産業について詳しくない方々から見ると、とてつもないリスクを負っているように見えますが、様々な知識を吸収し、それに基づいて計画をしている本人たちは、許容可能なリスク(Affordable risk)を明確に規定し、その中で行動をしていっているというものです。許容可能なリスクとは失敗しても、またやり直せる程度のリスクです。
また、思考プロセスとして、一般的にPDCAサイクルが有名ですが、アントレプレナーの場合、Act - Learn - Buildというサイクルを非常に大切にしています。まずは行動し、そこから学び、組み立てていくというものです。私たちは実際にこのプロセスの一部を体験するため、observation(観察)が土日の宿題として課されました。

2. Observation(観察)
Observationをするといっても目的がないと何も得るものはありません。バブソンではビジネスを始める上で"社会性"というものも大切にしますので、まず社会のどの問題にアプローチするかということを議論します。授業では国連の"the global goal for sustainable development"(以下図)を紹介してもらい、17の目標(貧困削減、より良い健康・生活、クリーンエネルギー、海洋生物保護等)の中から各グループ一つ選び、それに基づいてobservationを行います。僕たちのグループは(Good health and well being) を選び、ターゲットを高齢者に絞って観察を行いました。その後、observationをリストアップし、observationに基づいて考察(insight)を行います。結果は非常に興味深い、ただし考えてみれば当たり前の結果になりました。我々の考察は高齢者が行っているエキササイズは、(健康促進のみならず、他の人との会話等を楽しむ)社会的な活動ではないかという結論に行き着きました。



3. Design Thinking (デザイン思考)
さて話は前後しますが、そもそもobservationから始めるというのはデザイン思考の考え方に基づきます。デザイン思考はInspiration (Emphasize) から始まります。これは日本語に訳すと"共感" ということになるでしょうか。ただ、年齢、性別、国籍等が違う方に対して完全に"共感"するというの難しいと思います。そのため、observationでは街行く人々(我々の場合、特に高齢者)に目線を合わせることができるよう、どんな些細なことでも気づいたことを書き出します。例えば、僕たちのグループの場合、"思ったよりもスマホ持ってる人が多い"、”ゆっくり歩いている人が多い"、"散歩している人が多い"といったようなことです。そして、このobservationで得た結果を考察するのは上述の通りです。
次のステップは、Ideation (Create) があります。ここでは問題の特定 (problem identification) やBrain Stormingを行います。この辺りは通常のプロダクト開発(product development)と大きな違いはないかもしれません。そしてその後、Implementation (test)というフェーズで、プロトタイプの作成及びテスト等を行っていきます。デザイン思考はこのサイクルを繰り返していくというものです。




4. Ideation (Create)とImplementation (test)
さて、ObservationとInsight (考察) の後に、Problem identificationとBrain Stormingを行いました。まず、考察に対する問題提起をグループで考え、その問題の回答をBrain stormingするというものでした(以下の写真では右上に考察、右下に考察に対する問題提起、左側にBrain stormingの結果が出ています)。6人で3分間程度で50個ほどの回答を出した後に、その回答をそれぞれ分類分けし、投票を行いました。残念ながら、それを実行というところまでは授業では行いませんでしたが、その代わりResource Challengeを行いました。



5. Resource Challenge (5 dollar challenge)
5 dollar challenge とは5ドルが入っている封筒を渡されて、その封筒を空けてから、2時間以内にどの程度のお金を稼ぐことができるかというゲームです。これは一からアイデア出しをする練習ですが、我々のチームはたまたまObservationで観察をした高齢者の方々に焦点を当てて、「あなたの話聞きます 5ドル/10分」というようなことをしました。公園やマンションにいって、高齢者の方々を中心に話しかけ、60ドル程度集めることができました(半分寄付みたいな感じでしたが笑)。こちらのtake away (学び)は我々が持っているものをいかに活用するか(逆にいかに活用できていないかへの気づき)です。我々が持っているものは、目に見えるもの(例えば資格等)だけではなく、ネットワークや何か面白いことをできる能力等様々あります。これらをいかに活用してビジネスにつなげていくかということが今回の大きな学びかと思います。


まだまだアントレプレナーシップの授業は続きますが、中間試験の前まではこんな感じでした。これ以外にもアントレプレナーセンター等があり、個別カウンセラーがついて自分のビジネスのブラッシュアップや実行へのアドバイスをしてくれる場もあります。こちらについても今後アップしていきたいと思います。