2017年9月16日土曜日

Babson College Pre-MBAが始まりました

8月17日(木)よりBabson College Pre-MBAが始まり、8月28日にMBAが始まりました。Pre-MBAでは、初日からグループワークの宿題が与えられたりと、中々楽をさせてくれません。生徒の75%程度がインターナショナルで、日本人は10人(去年の2倍!)います。今年はインド人20人ぐらいに次ぐ、大きなインターナショナル生徒のコミュニティーだそうです。
さて、MBAが始まってから3週間がたちました。Module 1ではFinancial Accounting, Strategy, Date, Models & Decision, Entrepreneurshipの4科目を学んでいます。その中で、個人的に圧倒的に面白いのはEntrepreneurshipなので、こちらを紹介したいと思います。

1. "All human beings are entrepreneurs"
アントレの教科書(バブソン限定)の1章はこの文章から始まります。これは2005年にノーベル平和賞を取ったムハマド・ユヌス(グラミン銀行創業者)の言葉で、どんな人でもアントレプレナー(起業家)の素質を持っているというものです。その後、一般的に信じられているアントレプレナーに関わる"迷信"を否定していきます。例えば、アントレプレナーはとてつもないリスクを追っているように思えますが、リスクとは"personal (個人的) and relative (相対的) "であるものと定義しています。つまり、業界や産業について詳しくない方々から見ると、とてつもないリスクを負っているように見えますが、様々な知識を吸収し、それに基づいて計画をしている本人たちは、許容可能なリスク(Affordable risk)を明確に規定し、その中で行動をしていっているというものです。許容可能なリスクとは失敗しても、またやり直せる程度のリスクです。
また、思考プロセスとして、一般的にPDCAサイクルが有名ですが、アントレプレナーの場合、Act - Learn - Buildというサイクルを非常に大切にしています。まずは行動し、そこから学び、組み立てていくというものです。私たちは実際にこのプロセスの一部を体験するため、observation(観察)が土日の宿題として課されました。

2. Observation(観察)
Observationをするといっても目的がないと何も得るものはありません。バブソンではビジネスを始める上で"社会性"というものも大切にしますので、まず社会のどの問題にアプローチするかということを議論します。授業では国連の"the global goal for sustainable development"(以下図)を紹介してもらい、17の目標(貧困削減、より良い健康・生活、クリーンエネルギー、海洋生物保護等)の中から各グループ一つ選び、それに基づいてobservationを行います。僕たちのグループは(Good health and well being) を選び、ターゲットを高齢者に絞って観察を行いました。その後、observationをリストアップし、observationに基づいて考察(insight)を行います。結果は非常に興味深い、ただし考えてみれば当たり前の結果になりました。我々の考察は高齢者が行っているエキササイズは、(健康促進のみならず、他の人との会話等を楽しむ)社会的な活動ではないかという結論に行き着きました。



3. Design Thinking (デザイン思考)
さて話は前後しますが、そもそもobservationから始めるというのはデザイン思考の考え方に基づきます。デザイン思考はInspiration (Emphasize) から始まります。これは日本語に訳すと"共感" ということになるでしょうか。ただ、年齢、性別、国籍等が違う方に対して完全に"共感"するというの難しいと思います。そのため、observationでは街行く人々(我々の場合、特に高齢者)に目線を合わせることができるよう、どんな些細なことでも気づいたことを書き出します。例えば、僕たちのグループの場合、"思ったよりもスマホ持ってる人が多い"、”ゆっくり歩いている人が多い"、"散歩している人が多い"といったようなことです。そして、このobservationで得た結果を考察するのは上述の通りです。
次のステップは、Ideation (Create) があります。ここでは問題の特定 (problem identification) やBrain Stormingを行います。この辺りは通常のプロダクト開発(product development)と大きな違いはないかもしれません。そしてその後、Implementation (test)というフェーズで、プロトタイプの作成及びテスト等を行っていきます。デザイン思考はこのサイクルを繰り返していくというものです。




4. Ideation (Create)とImplementation (test)
さて、ObservationとInsight (考察) の後に、Problem identificationとBrain Stormingを行いました。まず、考察に対する問題提起をグループで考え、その問題の回答をBrain stormingするというものでした(以下の写真では右上に考察、右下に考察に対する問題提起、左側にBrain stormingの結果が出ています)。6人で3分間程度で50個ほどの回答を出した後に、その回答をそれぞれ分類分けし、投票を行いました。残念ながら、それを実行というところまでは授業では行いませんでしたが、その代わりResource Challengeを行いました。



5. Resource Challenge (5 dollar challenge)
5 dollar challenge とは5ドルが入っている封筒を渡されて、その封筒を空けてから、2時間以内にどの程度のお金を稼ぐことができるかというゲームです。これは一からアイデア出しをする練習ですが、我々のチームはたまたまObservationで観察をした高齢者の方々に焦点を当てて、「あなたの話聞きます 5ドル/10分」というようなことをしました。公園やマンションにいって、高齢者の方々を中心に話しかけ、60ドル程度集めることができました(半分寄付みたいな感じでしたが笑)。こちらのtake away (学び)は我々が持っているものをいかに活用するか(逆にいかに活用できていないかへの気づき)です。我々が持っているものは、目に見えるもの(例えば資格等)だけではなく、ネットワークや何か面白いことをできる能力等様々あります。これらをいかに活用してビジネスにつなげていくかということが今回の大きな学びかと思います。


まだまだアントレプレナーシップの授業は続きますが、中間試験の前まではこんな感じでした。これ以外にもアントレプレナーセンター等があり、個別カウンセラーがついて自分のビジネスのブラッシュアップや実行へのアドバイスをしてくれる場もあります。こちらについても今後アップしていきたいと思います。