2018年3月23日金曜日

自動車アフターマーケットカンファレンス in シカゴ

3月20日〜22日の間にシカゴで開催されていた自動車アフターマーケットカンファレンスに参加してきました。自動車アフターマーケットサプライヤー協会(Automobile Aftermarket Suppliers Association)主催であるため、非常に多くの著名な方々が、登壇していました。

ファミリービジネスに直結する内容であるため、ほぼこれだけのためにシカゴにきたようなものですが、非常に多くの収穫を得る事ができたと思っています。簡単ではありますが、ざくっとまとめておきます。


DIY(Do it yourself)
これは日本では数年前ぐらいから流行り始めたようで、日曜大工のように自分で工具や部品等を購入して、取り付けを(カー用品ショップに頼らずに)自分で行うというもの。今回のカンファレンスの中で、アメリカではこの傾向は少し弱くなってきておりDIFM(Do it for me)になってきているとの指摘がありました。

元々アメリカは国土面積が非常に大きいため、日本の方々とは比にならないほど自動車に乗ってます。1日の通勤で70マイル、約100kmぐらい乗る方もいるようです。そのため、故障やメンテナンスが頻繁に発生するので、必然的に自分で行う事を覚えていくそうです。

しかし最近はアプリ等で自動車の取り付けだけを手伝ってくれるものなどが使われるようになり、時間のない方はオンラインショッピングで必要な部品を購入し、アプリで人を呼んで頼むそうです。


ドングル(Dongle)
特にここでは自動車のほぼすべての情報(タイヤの空気圧、経路、室内の温度等)をリアルタイムで取れるBluetooth、Wifi、3Gを備えたドングルの話がでてきました。これらのドングルにより消費者側はスマホ一台で車の状況を知る事ができ、また車内環境の調整等もそれらのもので行えるようになるそうです。またカー用品販売店はこれらの情報を元に需要の予測及び在庫の管理ができるというものです。

また将来的には車同士のドングルが通信をする事により、ブレーキ制御を自動で行えるようになり、交通安全に劇的な貢献をするという話もありました。


自動運転及びMobility as a service
Mobility as a serviceは自動車を使いたい時にサービスとして提供してもらうもので、ウーバーのようなライドシェアのようなものもその一部です。今回は、自動運転が普及したのちには、ウーバーのようにアプリで街に流れている自動運転中の"空車"を呼び、自分で運転していく(あるいは自動運転に任せる)といった話がでてきました。

一方で、自動運転に関しては先日のウーバーの死亡事故も取り上げられ(参考:日経新聞)、トヨタはアメリカで行っていたテスト走行を一時中止したという事も議論にあがりました。しかし、ある専門家の意見では、アメリカにおける死亡事故は年間40,000件を超えており、その内、約94%が人為的なミスである事を指摘し、いずれにしても自動運転は近いうちに普及するだろうというものでした。

いずれの講演者も、自動運転やコネクテッドカー(インターネット機能を常時備えた車。車内エンターテイメントの幅が広がったり、商品の発注や留守宅の管理等も車内にいながらできるようになる)の普及は間違いないと考えておりましたが、普及のスピードにはかなりの見解の差がありました。とあるビジネスアドバイザーは2030年までにコネクテッドカーと自動運転車はそれぞれ全体の20%を占めると話しましたが、他の方はそれぞれ全体の5%程度にすぎないと考えていました。

個人的には、後者の方の意見は日本に当てはまるのではないかと考えています。アメリカでは5社程度(あるいはそれ以上)が自動運転のテストを行っており、VRにより相当数のデータが取れている事を考慮しても、もう少し早い段階に実用化・普及するかと考えています。


かなりザクッとしたまとめですが、だいたいこんな感じ(+サイバーセキュリティの話。専門性がなさすぎてあんまり深いところまで理解できません)でした。今回のカンファレンスで僕自身アフターマーケットの知識も、テクノロジーの知識もまだまだである事を再認識したので、今後AI を中心に色々学んでいきたいと思います。



          会場の雰囲気


2018年3月21日水曜日

Mod3の授業について②(オペレーション、管理会計、カスタマーエクスペリエンス)

前回の記事の続きで、Mod3の他授業であるオペレーション、管理会計、カスタマーエクスペリエンス(選択科目)についてコメントを書きたいと思います。

オペレーション
在庫管理、工場プロセス管理、プロダクト開発、(オープン)イノベーション等について学びました。

在庫管理では、特徴的な業界をいくつかピックアップして、それぞれの業界の特徴(例えば季節変動的であるかどうか)、顧客とのパワーバランス(特にB to Bの場合)などを考慮した上で、どのような在庫管理方法に関する理論を学び、実際の在庫量の考え方を学びました。

工場のプロセス管理はボトルネックの発見及びどのような手法でそれを解決するのかを定量的、定性的の両方の観点から学びました。プロダクト開発及びイノベーションは、それぞれのイノベーションの種類(プロセスイノベーション、プロダクトイノベーション等)を学び、また社外を活用したイノベーションの方法等を体系的に学びました。

総合的には、満足度が高い授業でした。僕自身のバックグラウンドとは全く異なる分野で、かつ将来ファミリービジネスに戻った際に考え方は非常に役に立ちそうところでした。特にプロセス分析のところで、ボトルネックを見つけるプロセスは、以前のコンサル会社でも行っており、事業会社でも応用できる考え方を再度体系的に学べたのは、非常によかったです。

また、今回のSinan Erzurumlu教授は2015年に40歳以下の全米ベスト40人の教授に選ばれており、非常にエネルギー溢れる授業を行ってくれました。生徒の巻込み方もうまく、またもちろんアントレ/起業の話も織り交ぜて話してくれたので、非常にありがたかったです。

管理会計
Activity Based Costing、KPI (Key Performance Indicator)、バランススコアカードのそれぞれの計算方法や数値の作り方を学びました。

また、会計記帳に関わるスタートアップを立ち上げた卒業生の講演会等があり、テクノロジー+会計のあたりも学ぶことができました。

こちらは元々会計事務所で働いた自分にとっては、新しい概念等はほぼありませんでしたが、上述の通り、会計関連で起業をする、といったアントレ関連の話は学びは非常に示唆が富んでおり、面白かったです。

カスタマーエクスペリエンス
顧客に対していかに価値を提供するか、価値をうまく提供できている企業の事例に関するディスカッションを行います。

例えば、人間の認識の構造(視覚の認識性、嗅覚と記憶の関係等)、コミュニティーの形成及びコミュニティー内のヒエラルキー(会員限定のイベントや限定品、ポイント制等)等です、

最も印象的であったのは「平凡な企業は顧客のニーズを確認しそれを提供する、偉大な会社は素晴らしい経験が何かを顧客に伝える"Great companies tell you what is the great experience"」というものです。これを聞いてまず思い浮かぶのはアップル社であるかと思います。我々自身が認識すらしていないニーズを顕在化させ、それを商品やサービスとして提供するというのは、ニーズから始めるデザインシンキングのさらに一歩上を言っているように感じています。もちろん、顕在化している顧客のニーズをとらえて商品・サービスを提供することだけでも、一般的には十分"Great"であると思いますが、頭の片隅に置いておきたい言葉であると思っています。

2018年3月17日土曜日

Mod3の授業について①(リーダーシップ論)

2ヶ月間に渡るモジュール3が終わりました。ということは、ブログの最終更新から2ヶ月がたってしまったということです。はい、もう少し頻繁に更新するようにします。

さて、モジュール3の振り返りをしたいと思います。モジュール3ではリーダーシップ論、オペレーション、管理会計、カスタマーエクスペリエンス(選択科目)と2モジュールに渡るコンサルティングプロジェクト(BCAP)がありました。

BCAPでもイニシアチブが取れるようになり、その他の授業も素晴らしい先生方に教えてもらうことができ、前モジュールに比べるとかなり満足度が高いモージュールとなりました。

リーダーシップ論
正式名称はCreating & Leading Effective Organizationという名前です。

最初の数回ではマネジメントとリーダーシップの違い、なぜ企業カルチャーやコアバリューが重要なのか、創業者自身と企業カルチャーの関係、企業内でどのように信頼を勝ち得ていくか、まず初回の授業ではマネジメントとリーダーシップの違いを学びました。

その後はネゴシエーションのロールプレイを経て、実際に現実世界で起こり得るような問題が書かれているケースに関するディスカッションがメインでした。

例えば、どうしても技術偏向なR&Dのリーダーをどのように説得するか、実際に海外展開をしようとしているCEOを招致して海外展開における意見交換等を行いました。教授が本当に尊敬できる方で一言一言に非常に重みがあり、非常に多くを学べた授業でした。

多くの学びがあるのですが、震えた言葉を一つ選ぶならば教授がぽろっと話した

 ”Passion is the thing which you are willing to suffer for.”

です 。今までなんとなく"仕事も楽しく"という方向で考えていたのですが、もしかしたら自分のマインドセットは相当甘かったのではないかなと思っています。

何か事をなしたい、新しいビジネスを始めてスケールアップさせたい(ちなみに教授はスタートアップで難しいのはスケールアップする事だ、と何度も言ってました)と思っているのに、"楽しく"というのはないかなと思いました。

自分が苦しんででもやり通したいと思うほどのものを一つあるいは複数持つ事が、情熱を傾けるという事なのかと改めて認識しました。

尚、今回は3クラスそれぞれ別の先生が担当していますが、我々のクラスは運良くバブソンのベストプロフェッサーにも選ばれた事があるJ.B. Kassarjian(JBと呼ばれています)という教授でした。

JBはバブソンに来る前はハーバードビジネススクールで教えてましたが(JB自身もMBA、DBAはハーバードです)、アントレ気質の強いバブソンが好きのようで、それ以来38年間に渡ってバブソンで 教鞭を取っています。

もうおじいちゃんですが、授業になるとものすごいエネルギーで、良い発言をすると握手を求められ(日本人の場合にはお辞儀になる時もあります笑)、生徒のモチベーションをあげるのも物凄い上手でした。

凄く偉くて、多忙な方なのにそれを感じさせないですし、ファイナルペーパーのコメントもワード1枚で収まらないぐらいのフィードバックをいただきました。ありがたいです。2年生で選択授業も担当しているので、そちらも取ろうと思っています。

次回のブログではその他の授業についても書いていきたいと思います。