2017年10月30日月曜日

Cambridge Innovation Center とSalemハローウィーン

前々回のブログで宣言した通り、今回はバブソン外のアントレに関連する内容を少しだけ紹介したいと思います。

CIC (Cambridge Innovation Center)について
 Cambridge Innovation Center (以下CIC) とはスタートアップ企業と大企業のイノベーション部門が集積する、ボストン・ケンブリッジ地区MITのすぐ横にあるコワーキングスペースです。かの有名なアンドロイドもここから生まれ、CICでは現在年間70億円以上のベンチャー投資が行われています。CICについては同じくバブソンMBAに所属している服部さんの記事に詳しいのでこちらを参考にしていただければと思います(世界最大級のイノベーションハブ「CIC」の全貌に迫る)。
こちらのブログにも写真が掲載されていますが、服部さん企画でCICの日本人向けオフィスツアーに参加させていただきました。ツアーではCIC創設者のTim氏との質疑応答、社内ツアー、ベンチャーカフェの参加等をしていただきました。ベンチャーカフェとは、CIC内のスペースで行われている、ネットワーキングイベントで、CICにスペースを持っている企業や個人の他に、誰でも自由に出入りができます。テーマを絞ったピッチイベントやセッションの他に、アルコール片手に自由に会場にいる人と話す事ができるスペースもあります。こちらのブログ(地域に根差すスタートアップエコシステム: 良い偶然を生み出すためのネットワークづくり)も書かれている通り、スタートアップエコシステムを生みだす為には、「良い偶然を生み出す」仕組みのひとつがベンチャーカフェという事です。
現在CICの一部のプロジェクトにも参加させてもらっており、今後プロジェクトが進んでいくタイミングで、またこちらに書いていきたいと思います。


CIC正面入り口

Salemハロウェーンについて
さて全くアントレとは関係ないですが、先日ボストンから車で40分程度北にあるSalemという街でハロウィーンパーティーをしてきました。都市伝説のようにも聞こえますが、Salemという街は17世紀末に魔女狩りが行われたところのようです。あまり噂とか都市伝説は信じない人なので、少し調べてみましたが、"Salem witch trials"と検索すると相当な情報が出てきました。特に驚きだったことが、1692年に行われた魔女狩りの加害者(の子孫)の免罪が、2001年にマサチューセッツ州から正式に認められたという事です。つい最近まで魔女狩りの禍根を残していたことへの驚きとともに、魔女狩りが行われていたことの信憑性は高さを感じました(参考:The New York Times)。
なので、それにかこつけてハロウィーンになると多くの人がSalemに集まるようですが、我々も例外ではなく、約10年ぶりにお化け屋敷に入ったり、MBA同期と飲んだりで、良い一夜を過ごすことができました。

お化け屋敷


Witch City Taxi

 飲み会。服装は普段着です。

2017年10月20日金曜日

プロトタイプとFeasibility Analysis (実現可能性分析) について

アントレ第3弾です。本当はバブソン外の話を書く予定でしたが、Mod1がちょうど終わったのでこちらから書きたいと思います。

1. プロトタイプ(模型)について
以前の記事で我々のグループでは高齢者にフォーカスした商品作りを考えているという話をしましたが、その後その話が進み、授業の一環としてプロトタイプを作りました。プロトタイプというと仰々しいですが、要は模型です。講義ではプロトタイプの考え方の説明から始まりました。Prototyping で重要なことは①実験を行うために最も最短の方法を見つけること(Find the quickest path to experience)、 ②実行は最も良い思考である (Doing is the best kind of thinking)、という事です。以下の写真は、ドローンを使った新しいサービスのプロトタイプのようですが、大体1日未満で作り上げるそうです。
一通りの講義の後に、実際に我々もプロトタイプを作り、その発表があります。


我々のグループは高齢者向けのウェアラブルデバイスという事で、以下のようなものとなりました。(本件についてのツッコミはご遠慮願います笑)。


小学生の図画工作のレベルですが、実際に作ってみると頭の中で考えていた事以外にも、色々な問題点や改善点が出てきます。これを作る過程で多くのディスカッションがなされ、アイデアに磨きがかかっていくという事を経験しました。その他のチームも同様の事を行い、その後発表会があります。会場の雰囲気と他のチームの作品は以下の通りです。語弊を恐れずに言えば、ほぼ遊びです笑

講義の雰囲気

VRを使ったサービスのプロトタイプ

健康食品のプロトタイプ


2. 最終プレゼンについて
バブソンはモジュール制になっていて、1年生は来年5月までに4モジュールあります。Mod1の締めくくりとしてグループのアイデアのFesibility Analysis (実現可能性分析) を行い、Mod1で教えていただいた3人の教授(我々のチームは会計、戦略、アントレの教授)に対してプレゼンを行い、Q&Aを行うというものです。我々のチームは上記の高齢者向けのウェアラブルウォッチのFesibility Analysisを行いました。Fesibility Analysisとはプロダクトやサービスの実現の可能性(技術的実現可能性、採算の実現可能性等)を分析するもので、(多分)新規事業開発の事業計画書に近いものかと思われます。
さて、Feasibility Analysisを行うにあたって、様々なビジネススキルが必要とされます。将来の需要を予測するための統計スキル、将来の収支を考察するための会計スキル、自社のサービス・プロダクトを市場に提供するための戦略(マーケティング・オペレーション等)そしてゼロからイチを作り上げていく基本的な考え方(アントレプレナーシップ)です。
今回のプレゼンは、Mod1で学んだ上記4つ(会計、統計、戦略、アントレ)の集大成として位置付けられていて、それぞれの科目のGPAに10-15%程度影響します。バブソンではこれをSLE (Signature Learning Experience) と呼んでいます。
話は脱線しますが、僕がバブソンにアプライする時に「すべての授業が"アントレの観点"から行われる」と言われました。正直何言ってるのかよくわかりませんでした。アントレの授業はともかくとして、会計や統計の授業がどうなったら"アントレの観点"になるのか全く理解できませんでした。しかし、今回この最終プレゼンを行っていく中で、少し合点がいきました。例えば、会計の場合、一般的なMBAでは与えられた財務諸表の分析という観点がメインになるかと思います。もちろん投資銀行でやるようなモデリング等もあるかもしれません。しかし、バブソンの会計の授業では異常にキャッシュフローの比重が高いです(キャッシュフローステートメント作成やキャッシュに関わる指標の分析等)。なぜなら、現預金がなくなったら企業は倒産するからです(当たり前のことを書きました)。ベンチャー企業は大方資金繰りは厳しいものなので、講義でも利益と共にキャッシュフローが重視されるということなのでしょう。今回のFesibility Analysisも財務の観点が必要ですので、損益計算書の他にキャッシュフロー計算書を作成してプレゼンを行いました。

チームメートにも恵まれて、無事プレゼンも終え、今はMod1とMod2の間の束の間の休息です。最終プレゼン後の写真を撮り忘れてしまったので、その代わりアントレの授業の最後に見せてもらった、アントレに関するショートムービーをのせておきます。1ヶ月半、色々な事をさせてもらった後にみると、心に染みました。

      

2017年10月2日月曜日

ロケットピッチ・Blank Centerについて

中間テストも終わり、今週末は比較的ゆっくりとできているので、アントレ関連の第二弾を書きたいと思います。

1. ロケットピッチ
先週アントレプレナーの授業の中間テストとして、ロケットピッチの課題が与えられました。ロケットピッチとは本来起業家が投資家等に対して、自分のアイデアを短時間でピッチ(説明)するものです。ただ今回は、ピッチをビデオで録画・公開し、生徒の何人かと先生から評価・コメントをもらうというものでした。ピッチの時間は2分間で、PPTスライドも数枚作成しました。
評価の基準としては、ビジネスアイデア自体の質(CVP (Customer Value Proposition, 顧客に対する付加価値) が明確になっているか、Revenue modelが盛り込まれているか)と、プレゼンテーションの質(自身の意見をクリアに伝えられているか等)、という観点です。僕自身も10人以上のプレゼンテーションを評価しました。他の人のプレゼンテーションを見る事により、ビジネスアイデア自体から学びがあった事はもちろんのこと、プレゼンの方法やスライドの作り方といった点で学びがありました。
また個人的にロケットピッチの最も良かった点は、誰でも強制的にビジネスアイデアを考えさせられ、ある程度のところまでブラッシュアップをしなければならないという環境の提供、という点です。僕自身、色々アイデアは持っていたのですが、「これっ!」という一つに絞りきれず、なんとなく過ごしてきてしまいました。しかし、ここで一つのアイデアを選んで、深掘りしていく事で、自分のやりたい事や、自分の持っているアイデアの実現可能性等が以前に比べてクリアになってきたかと思います。私自身、ここでピッチしたアイデアは実現化させようと思っているので、Blank CenterのCohort Program (7週間プログラム) に登録しました。

2. Blank Center (Cohort program)
Blank Centerの正式名称は"The Arthur M. Blank Center for Entrepreneurship"で、Babson Collegeにおけるアントレプレナーシップ教育の本拠地となっています。アメリカにおける名称付けの例に漏れず、こちらの建物の名称はバブソンの卒業生でありHome Depoの共同創業者であるArthur M. Blankから名付けられています。
さて、普段の授業ではこちらの建物に入る機会は少ないのですが、先週よりBlank center主催のCohort programに参加しています。Cohort programとは自分の持っているビジネスアイデアをブラッシュアップし、それを実現化させる為のプログラムです。現在はオリエンテーション期間ですが、約40人程度の生徒が集まっており、3週間のオリエンテーション期間の後、30人に絞られ、その後、7週間のインテンシブプログラムが始まります。オリエンテーションの期間から、生徒一人に対して教授一人がメンターとして付くという非常に豪華なプログラムです。
先週初めてのオリエンテーションセッションがあり、ここで4人のグループに分けられ、各個人のアイデアを簡単にピッチしました。今回のグループは学部生2名とEvening MBA生、それと僕というメンバーでした。驚いた事に学部生2名(どちらも19歳)であるにもかかわらず、すでにマッチングアプリのプラットフォームは出来上がっているという具合で、彼らの優秀さに舌をまきました。
またさらに驚いたことに、そのうち一人は僕のアプリを実現化させる為に、エンジニアを紹介してくれて、来週エンジニアと打ち合わせを行う予定です。

このようにBabsonには色々なアントレのチャンスが転がっているます。入学時にはアイデア無しでも、在学中にアイデアを考え、それを実現化させる事も、やる気次第でどうにでもなると思っています。また、バブソンの外に目をむけても、ボストンエリアには非常に多くのアントレやネットワーキングのチャンスが転がっています。次回は先日訪問させていただいたCIC (Cambridge Innovation Center)について書きたいと思います。

バブソンアントレの総本山

入口入ってすぐのスペース。アントレ感がでてます。