グラミン銀行とソーシャルビジネスについて
この2週間(稼働日は9日間)でグラミン銀行の概要のレクチャー、村の訪問(2回)、グラミンファミリー(グラミン関連会社、計4社)への訪問、グラミンファミリーの工場や職業訓練所の視察等を行いました。最終日はレポートの提出と、MD (Managing Director) とのショートディスカッション、修了書の授与等がありました。
グラミン銀行はソーシャルビジネスという言葉を普及させました。僕自身の疑問として、近年企業の社会性が求められるようになり、ソーシャルビジネスと普通のビジネスの境目が非常に曖昧になっていると思ってます。同じくインターンに参加していた日本人・中国人のかたと色々議論をして、自分なりの考えを持てるようになったので、そちらを記載しておきたいと思います。
まずソーシャルビジネスに関して話したいと思います。グラミンファミリーの中にユヌスセンターというリサーチ&コンサルティングセンターがあり、そちらでは日々ソーシャルビジネスの研究等も行っています。そちらのマネジャーの方と話す機会がありまして、ソーシャルビジネスの大きなポイントとして、スタートが社会問題に対するアプローチと言っています。一方、僕は一般的なビジネスのスタートは利益の機会であると思っています。恐らくここが大きな違いであると思いますが、上述の通り近年企業の社会性が求められるようになり、多くの企業が我々の企業は"ソーシャルな"企業であるという事をアピールするようになったと思います。全ての企業が社会に対してインパクトを与えている以上、一つの事業を"ソーシャルな"事業であるという事は難しい事ではありません。
例えば僕にとって最も身近なカー用品小売事業。例えばカー用品小売事業を海外展開させたとしましょう、もちろん利益の機会を求めて。しかし後付けでこの事業をソーシャルな事業という事も可能です。例えば、「進出先の雇用を生んだ」、(従業員のトレーニングは何れにしても必要なので)「労働者に職業訓練の機会を与えた」、(現地企業より若干高い給料を払えば)「所得工場に貢献した」という事ができると思います。このように多くの企業が我々は"ソーシャルな"企業であるという事をアピールして、一見ソーシャルビジネスの定義が曖昧になったかのように思えます。しかし、グラミン銀行の考えるソーシャルビジネスはより狭義のもので、あくまで社会問題にアプローチをするというものでした。
一方で、僕はグラミンファミリーのビジネスは全てソーシャル"ビジネス"と呼べるが、ソーシャル"ビジネス"として成立しているものは、その内半分以下かと思っています。理由は利益性です。具体的な数字を用いてお話することはできませんが、色々突っ込んだ質問をさせて頂いたところ、ヒアリングをさせていただいたグラミンファミリー6社の内、3社程度のグラミンファミリーが利益を生み出していない、あるいはそもそもNGO・NPOを標榜していました。
利益を追及できていない理由は理由は様々あると思います。当初の事業計画に無理がある、そもそも利益をあまり追求していない(出資元企業のCSRの位置づけ)、そして"ソーシャル"を謳うがゆえに行動が制約されて、一般企業が取るような改革ができない、です。3点目の行動の制約に関して、例を用いて説明したいと思います。僕が伺ったとあるグラミンファミリーの工場で不採算部門がありました。工場内を見学いたしましたが、明らかに人員過剰です。一目でわかります。ではレイオフができるかというとそうでは無いと思います。ちなみにこの工場では他の工場よりも従業員の給与が30%程高いです。ではそれを下げる事ができるかというとそれも比較的難しいと思います。なぜなら、この会社はソーシャル"ビジネス"を行っているのであり、上述のような従業員の雇用とか所得向上貢献を謳ってしまっているからです。もしここでレイオフしたり、給与下げたりすれば普通の企業になってしまい、それはグループ全体の方向性に反します。一般企業であればできることがソーシャルビジネスを標榜しているが故に、行動が制約されているのかと思います。
まとめると、ソーシャルビジネスと呼べるものは多くはびこっていますが、多くはソーシャルビジネスとして成立はしていないというのが僕の感想です。それは①後付けの"ソーシャル"ビジネスとなっている、②"ビジネス"として成り立っていない、という事があると思います。ソーシャルビジネスをクリアに定義する必要はないと思いますが、僕なりの考え方を記載させていただきました。
さて僕自身が目指すところは社会性のある一般企業です。企業として利益を上げる事は第一であると思っています。その上で、随所で社会性を考慮した判断をしていきたいと思います。例えば上記の工場の例では、人員過剰でも新規採用を止め自然退職を待つか、需要が大であれば設備を増やし、その部門に人を移すといったような判断になると思っています。(当たり前かもしれませんが)リストラはなるべく避けたいと思っています。仮にリストラをした場合でもトヨタのように(参考:日経新聞)従業員の再雇用の支援までを行うという判断を下せるような人になっていこうと思います。
思ったより長くなってしまったので、バングラデシュのインターンシップ以外の観光とか治安等の話はまた別途記載しようと思います。全体としてかなり満足度の高いインターンシップになりました。どうしてもアメリカにいるとテクノロジー志向(思考)になりがちであるところがあるのですが、テクノロジーはあくまでツールなので、どのようにビジネスや社会問題にアプローチするかという事を実践を通して、考え・学べた事は非常によかったです。また多くの友達とディスカッションをする事を通じて考えがさらに深まった事も非常に有意義でした。優秀な友達とのディスカッション程思考を深めてくれるものは無いなと感じている次第です。 コーディネータのサブンさん、色々ディスカッションをしてくれたタキ、タカオ、イサンを始め、関わってくれた人全てに対して、感謝です!
コーディネーターのMr. Sabunさんと。最終日修了書授与後。
バングラ初飲み会の記念写真。
センターミーティング(借り手の集まるミーティング)
バングラ最終日のディナー。仲良し4人組笑
国際NGOのBracにも訪問しました。時系列めちゃめちゃですいません。
ニット工場見学
村の子供達
村の子供達②
ブランチマネジャー
MDの方との記念写真
センターミーティング②
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