2018年1月15日月曜日

グラミン銀行インターン②(バングラデシュ観光・治安編)

お約束通り少しバングラデシュの治安や観光のことについて書きたいと思います。2016年7月にバングラデシュ中心部でテロがおき7名の日本人を含む20名の民間人がなくなるという悲しい事件が起きています。それ以降バングラデシュは「危険な国」という認識になってしまったかと思います。外務省の安全情報のホームページではずっとレベル2の「不要不急の渡航はやめてください」となっており、このタイミングでこの国に行くのはよほどの好き者かと思っています。ですが、もし万一今後この国に行くことがある人のために現地で感じたインターンシップ以外の内容も共有したいと思います。

治安編
上述の2016年のテロによりバングラデシュの観光産業等に大きなダメージがあったため、政府はそれ以降治安対策を一層強化しています。しかし、まだ現在もテロの脅威に晒されている事実もあります。
いきなりは話がそれてしまいますが、ロヒンギャ問題をご存知でしょうか。ロヒンギャとはバングラデシュとの国境付近のミャンマー側に住んでいるムスリム系の住民の総称で、その数は150万人程度いると言われています。ロヒンギャ問題とはミャンマー軍がこれらのロヒンギャを「テロ」や「暴動」等を理由に、組織的に殺害しているという問題です。詳細はこちらのYahooニュース等をみていただければと思います。
話はバングラデシュに戻りますが、昨年12月25日に突然たびレジ(外務省の安全情報を配信しているサイト)がなり、「12月16日にバングラデシュ系アルカイダがロヒンギャ問題に呼応して、ミャンマー権益に対するテロを呼びかけたので、それらの建物や観光地には極力近づかないように」という旨のメールが入りました。僕はその時ミャンマー大使館から徒歩5分ぐらいのところにいたので、正直気が気でなかったです(これに呼応するテロは僕の知る限り起きませんでした)。
このような状況ですので、政府の治安対策は徹底されています。僕の住んでいたところは街の中心に近いところでしたが、街の郊外(グラミン銀行)から街の中心に入る上では2-3回のライフルを持った警察の検問所があり、かなり厳戒な警備体制が続いています。帰国の際に空港に行く時には、100メートルおきに計3回の検問所があり、不審車等はチェックを受けていました(その代わりそれによる渋滞がひどいです)。
このような政府の努力及び自分自身で注意することを怠らずに過ごしたので、スリや盗難も含めて大きなトラブル等には一切巻き込まれませんでした。


観光編
上記のような治安の状況もあるので、多く観光はしませんでしたが、いくつか代表的なところだけ行ってきました。



スターモスクです。指入っちゃいました笑



バングラデシュ最高学府ダッカ大学です。



一時の安らぎを求めてWestin Hotelに行きました

生活編
僕が住んでいたところは市街地でしたので、比較的便利で、外国人向けレストラン等もありましたが、基本的にはそれ以外のエリアはローカルレストラン、ローカルカフェばかりでした。
もちろん日本やアメリカに比べたら不便は多い国ですが、1点日本より進んでいるところといえば、ウーバーが使えることでしょうか。アメリカ同様ウーバーが使えますので、比較的手軽に配車ができます(しかし基本ドライバーはウーバーの示す道は通らないですし、配車が完了した後に電話をかけてきてどこにいるのかを説明しなければなりません)。僕は誤ってグラミン銀行から少し遠いホテルに泊まってしまったんで、ウーバーは大活躍でした。



もう今年も24分の1が終わってしまいましたが、毎年恒例の今年の目標をこちらに記載していきたいと思います。今年は思想、哲学の本を読んでいきたいと思っています。あまり難しすぎても続かないので、以前よりずっと好きであった歴史や人物史の本を中心に読んでいきたいと思っています。最近自分自身でアイデアを考え、プロジェクトを進めることができ、またいくつかは実行に移せています。その中で、たまに決断をするという事が迫られてます。その際に拠り所になるところって、結局知識ではなく、基本的な広く社会(一般社会、会社、従業員、投資家等)との向き合い方かと思っています。社会をどう捉えるかによって、決断が変わってくるかと思っています。
ビジネスを始めるとか、新しい事を始めるって思った以上に大変であるなと最近痛感しています。今後プロジェクトを進めていく中でも、プロジェクトの途中とかで易きに流れたくなる状況が絶対に出てくると思っています。でもそのような選択肢って、往々にして誰か(特に弱者)を犠牲にする選択肢だったりするような気がしています。以前のブログにも書きましたが、僕自身ソーシャルビジネスをしたいとは思っていませんが、全ての決断に社会性はあるべきだと思っています。今後プロジェクトを進めていく上で、まず何が社会性がある決断かをしっかり分析できる力をつけて、易きに流れない芯の通った決断をしていけるように生涯をかけて鍛錬していきたいと思っています。

2018年1月5日金曜日

グラミン銀行インターン①(インターンシップ編)

バングラデッシュでの2週間が無事終わりました。最初の1週間は枕も合わず(僕の睡眠の質は枕の質とお酒の量に相関があります)、お腹の調子も首の皮一枚で繋がっている感じで、非常にストレスを感じていましたが、2週目は交通渋滞以外はかなり快適に生活ができるようになりました。色々グラミン銀行とソーシャルビジネスについて考えが深まったのでそちらを記載しておきます。

グラミン銀行とソーシャルビジネスについて
この2週間(稼働日は9日間)でグラミン銀行の概要のレクチャー、村の訪問(2回)、グラミンファミリー(グラミン関連会社、計4社)への訪問、グラミンファミリーの工場や職業訓練所の視察等を行いました。最終日はレポートの提出と、MD (Managing Director) とのショートディスカッション、修了書の授与等がありました。
グラミン銀行はソーシャルビジネスという言葉を普及させました。僕自身の疑問として、近年企業の社会性が求められるようになり、ソーシャルビジネスと普通のビジネスの境目が非常に曖昧になっていると思ってます。同じくインターンに参加していた日本人・中国人のかたと色々議論をして、自分なりの考えを持てるようになったので、そちらを記載しておきたいと思います。

まずソーシャルビジネスに関して話したいと思います。グラミンファミリーの中にユヌスセンターというリサーチ&コンサルティングセンターがあり、そちらでは日々ソーシャルビジネスの研究等も行っています。そちらのマネジャーの方と話す機会がありまして、ソーシャルビジネスの大きなポイントとして、スタートが社会問題に対するアプローチと言っています。一方、僕は一般的なビジネスのスタートは利益の機会であると思っています。恐らくここが大きな違いであると思いますが、上述の通り近年企業の社会性が求められるようになり、多くの企業が我々の企業は"ソーシャルな"企業であるという事をアピールするようになったと思います。全ての企業が社会に対してインパクトを与えている以上、一つの事業を"ソーシャルな"事業であるという事は難しい事ではありません。
例えば僕にとって最も身近なカー用品小売事業。例えばカー用品小売事業を海外展開させたとしましょう、もちろん利益の機会を求めて。しかし後付けでこの事業をソーシャルな事業という事も可能です。例えば、「進出先の雇用を生んだ」、(従業員のトレーニングは何れにしても必要なので)「労働者に職業訓練の機会を与えた」、(現地企業より若干高い給料を払えば)「所得工場に貢献した」という事ができると思います。このように多くの企業が我々は"ソーシャルな"企業であるという事をアピールして、一見ソーシャルビジネスの定義が曖昧になったかのように思えます。しかし、グラミン銀行の考えるソーシャルビジネスはより狭義のもので、あくまで社会問題にアプローチをするというものでした。

一方で、僕はグラミンファミリーのビジネスは全てソーシャル"ビジネス"と呼べるが、ソーシャル"ビジネス"として成立しているものは、その内半分以下かと思っています。理由は利益性です。具体的な数字を用いてお話することはできませんが、色々突っ込んだ質問をさせて頂いたところ、ヒアリングをさせていただいたグラミンファミリー6社の内、3社程度のグラミンファミリーが利益を生み出していない、あるいはそもそもNGO・NPOを標榜していました。

利益を追及できていない理由は理由は様々あると思います。当初の事業計画に無理がある、そもそも利益をあまり追求していない(出資元企業のCSRの位置づけ)、そして"ソーシャル"を謳うがゆえに行動が制約されて、一般企業が取るような改革ができない、です。3点目の行動の制約に関して、例を用いて説明したいと思います。僕が伺ったとあるグラミンファミリーの工場で不採算部門がありました。工場内を見学いたしましたが、明らかに人員過剰です。一目でわかります。ではレイオフができるかというとそうでは無いと思います。ちなみにこの工場では他の工場よりも従業員の給与が30%程高いです。ではそれを下げる事ができるかというとそれも比較的難しいと思います。なぜなら、この会社はソーシャル"ビジネス"を行っているのであり、上述のような従業員の雇用とか所得向上貢献を謳ってしまっているからです。もしここでレイオフしたり、給与下げたりすれば普通の企業になってしまい、それはグループ全体の方向性に反します。一般企業であればできることがソーシャルビジネスを標榜しているが故に、行動が制約されているのかと思います。
まとめると、ソーシャルビジネスと呼べるものは多くはびこっていますが、多くはソーシャルビジネスとして成立はしていないというのが僕の感想です。それは①後付けの"ソーシャル"ビジネスとなっている、②"ビジネス"として成り立っていない、という事があると思います。ソーシャルビジネスをクリアに定義する必要はないと思いますが、僕なりの考え方を記載させていただきました。

さて僕自身が目指すところは社会性のある一般企業です。企業として利益を上げる事は第一であると思っています。その上で、随所で社会性を考慮した判断をしていきたいと思います。例えば上記の工場の例では、人員過剰でも新規採用を止め自然退職を待つか、需要が大であれば設備を増やし、その部門に人を移すといったような判断になると思っています。(当たり前かもしれませんが)リストラはなるべく避けたいと思っています。仮にリストラをした場合でもトヨタのように(参考:日経新聞)従業員の再雇用の支援までを行うという判断を下せるような人になっていこうと思います。


思ったより長くなってしまったので、バングラデシュのインターンシップ以外の観光とか治安等の話はまた別途記載しようと思います。全体としてかなり満足度の高いインターンシップになりました。どうしてもアメリカにいるとテクノロジー志向(思考)になりがちであるところがあるのですが、テクノロジーはあくまでツールなので、どのようにビジネスや社会問題にアプローチするかという事を実践を通して、考え・学べた事は非常によかったです。また多くの友達とディスカッションをする事を通じて考えがさらに深まった事も非常に有意義でした。優秀な友達とのディスカッション程思考を深めてくれるものは無いなと感じている次第です。 コーディネータのサブンさん、色々ディスカッションをしてくれたタキ、タカオ、イサンを始め、関わってくれた人全てに対して、感謝です!

コーディネーターのMr. Sabunさんと。最終日修了書授与後。

バングラ初飲み会の記念写真。

 センターミーティング(借り手の集まるミーティング)

バングラ最終日のディナー。仲良し4人組笑

国際NGOのBracにも訪問しました。時系列めちゃめちゃですいません。

ニット工場見学

村の子供達

村の子供達②

ブランチマネジャー

MDの方との記念写真

センターミーティング②